どうでもいいビニール袋
僕のアパートの前の木
まだ寒い
風の強い日に
やってきた
木にはまだ葉がついていない頃で
ひっかかった
ビニールは
目立っていた
が
いまは
青々とした葉に
負け
影が薄い
かつて
ツアーに出かける前に
帰って来ても
あのビニールがまだ
枝に引っかかっているかどうか
妻と賭けをした
それも
遠い昔
しかし
みごとに
ぼくのアパートの窓からの景色の
ほぼ中心に
ビニールはある
ここまでくると
夏に日本へかえり
フランクフルトにもどってからも
ビニールには
そこに
あってほしい
木の葉が落ちるころまで
いきのび
また かれ に
目立って欲しいものだ
それから
ビニールの左斜め上の枝
そこには
鳥の巣がある
2010 05 24